診療科紹介Department introduction
リウマチ科
科の紹介
関節リウマチは、慢性・進行性・全身性の炎症性疾患です。
人口の約0.5~1%に発症し、免疫異常によって引き起こされます。発症して初めの2~3年は特に関節破壊の進行が早いため、元に戻れないほど関節が壊れてしまう前に適切に治療することが大切です。
具体的な症状は次のようなものがあります。
・複数の関節の痛みや腫れが毎日続く
・関節の動きが十分できない
・関節以外にも、肺・眼・皮膚・消化管などに病変を認めることがあります。
など、関節症状が気になったら、迷わず整形外科医やリウマチ専門医をたずねてください。
医師
特徴
客観的評価、血液検査、MRI検査等で早期診断
専門の眼を持った医師・看護師・薬剤師・診療放射線技師・臨床検査技師等が多職種で対応し、適切に診断と経過観察を行って、お一人お一人にあった適切な治療のご提供を行います。
早期に関節リウマチの診断を確定するため、診断制度の高い血液検査やMRI、関節エコーなどの画像診断を用いています。また、多職種で身体所見を点数化して客観的にみる評価法(DAS28 HAQなど)を採用し、診断および経過の評価に役立てています。
3ヶ月毎にお薬の効き目を評価
関節リウマチでは、消炎鎮痛剤やステロイド剤による痛み・腫れを方法だけでは不十分ですので、病気の元を抑える抗リウマチ薬を使用します。薬剤には多種類ありますが、個々の患者さんの全身の状態やアレルギー等を考慮して、ご本人と相談しながら選択します。少なくとも3ヶ月毎に、使用している薬剤の効果を測定し、効果不十分の場合は薬剤変更などを考慮します。内服薬に加え、個人に合った注射製剤(生物学的製剤)等も使用し、リウマチ患者さんの日常生活が支障のないように、多職種(医師・看護師・薬剤師・社会福祉士・臨床検査技師・診療放射線技師・医師事務作業補助者等)で患者さんを支えます。
生物学的製剤の効果的使用
患者さんの状態に応じて、個別に相談しながら抗リウマチ薬や生物学的製剤・JAK阻害剤を使用します。これらにより関節の疼痛や腫脹の改善が得られるほか、内服薬だけでは防止が難しいとされる、リウマチによる関節破壊(変形等)の抑制効果が期待できるとの知見が出ています。
生物学的製剤とは、一般の医薬品のように化学物質を合成した薬剤ではなく、生物が生み出すタンパク質などをバイオテクノロジーにより薬剤として利用したものです。
当院では、外来化学療法室を使用し、専任のスタッフが治療にあたります。安全のため、一投与ごとに複数の専任スタッフが関わり、効果判定や合併症予防にも留意しています。状態により、入院治療も可能です。
傷みの進んだ機能再建の手術
当院では、リウマチ専門の内科医・整形外科医が協働して診療にあたっており、薬物治療と併用して手術や罹患関節への局所治療も積極的に行っています。
手術には、主に以下の方法があります。
①人工関節手術(主に膝関節、股関節)
関節の骨や軟骨がひどく傷んでしまった場合に、関節機能を再建する代表的手術です。股関節や膝関節の症状が強い方に大変有効です。傷んだ関節を削り金属などの人工材料で被履して、関節機能を再建します。歩行しやすくなったり、痛みの緩和に有効です。
②滑膜切除術
関節内のリウマチ活動性の高い滑膜を切除し、罹患関節の病態を減少させ、薬物治療を補助する効果があります。膝・肘・足関節などでは内視鏡で行うため、傷は小さく1㎝×2~3ヶ所で済みます。
③脊椎除圧固定術
リウマチにより背骨にずれが生じ、中を通っている脊髄や馬尾神経が圧迫されて手足のしびれ等の症状が出る場合、骨のずれを矯正して固定したり、傷んだ神経を圧迫から解放する手術です。
④腱移行術、関節固定術、各種骨切り術(膝、外反母趾)
症状に応じて、生活支援、生活再建が叶いますよう様々な手術で対応しています。リウマチの活動性が落ち着いていれば、膝関節は自分の骨を残す関節温存手術(骨切り術)も可能です。術後も積極的な運動への取り組みが必要となります。ぜひ主治医にご相談ください。
チーム医療で患者さんのニーズに応える
当院では、リウマチ専門医やリウマチケア看護師・登録薬剤師・登録ソノグラファーのリウマチ専門職をはじめ、医師・歯科医師・看護師・薬剤師・理学療法士・作業療法士・診療放射線技師・臨床検査技師・歯科衛生士・ソーシャルワーカー・医師事務作業補助者など多職種が専門チームとなってリウマチ治療にあたっています。リウマチ専門医として、内科系医師と整形外科系医師が協同して対応するほか、関連する呼吸器科・消化器科・循環器科・皮膚科・歯科などの複数診療科の各専門医と連携して、合併症として多い肺炎などの肺疾患、動脈硬化など循環器疾患、骨粗しょう症なども並行して予防と治療にあたります。
安心して効果的な治療を受けていただけるようスタッフは最新の医療技術を研鑽し、情報を共有して患者さんを支援します。
当院では年2回の地域リウマチ勉強会(南加賀RAカンファレンス)を主管しています。
また長期にわたる療養が必要になるため、診断後の治療を継続するための医療費相談、就労との両立相談、身体障害者手帳や障害年金等の手続き支援、介護保険の活用相談について、ソーシャルワーカーが中心に支援します。
関連情報


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